Dobrý den, Jak se máte?
先月からブログを担当しております、ちひろです。
今月は「チェコの文化を守る日本人とゆかりの地」について、お送りいたします。
※以下は私自身の体感も含まれており、事実とは必ずしも一致しない可能性がありますが、ご了承ください。チェコに渡航される際の参考にしていただければ幸いです。
「チェコへの扉ー子どもの本の世界」関連講演会「チェコの子どもと読書」の講演会資料の中には、いくつかの物語では、笑いの中に悲哀や風刺が込められており、子どもたちは遊びを通して人生の厳しさや複雑さを学ぶことができるという旨の記載があり、私自身もその通りだと思います。
https://www.kodomo.go.jp/anv10th/archive/event/pdf/20080426.pdf
私が子どものころに読んだ、または親に読んでもらった本というのは、意外といつまでも心に残っており、自分の想像力をかなり豊かにしてくれたと感じています。
また、児童文学というと「大人が読んでも」という考えがあるように思いますが、子どもならではの視点や気づきがあり、案外その発想の柔軟さにハッとさせられるものです。
私の周囲では、20代の大人のチェコ人の方でもファンタジー作品を夢中になって読んでいる方が何人かいらっしゃいます。
そこで今回は文学を切り口に、翻訳家の木村有子さんにいくつか質問をさせていただき書面で回答をいただきました。

写真:木村有子さん
木村さんは幼少期をチェコ(当時はチェコスロバキア社会主義国)で過ごされ、のちに再度来られていたという点で私と共通点がある方です。
1970年 父親の転勤に伴い家族でプラハへ。1973年まで現地の小学校に通う。
1984年 日本大学芸術学部文芸学科卒業。
1984年 チェコスロバキア政府給費留学生となり、プラハ・カレル大学に2年間留学。
会社勤めの後、1989年より1994年にかけての4年間、夫と共にドイツの西ベルリン、マンハイム、フランクフルト、統一後のベルリンに住む。
この間、フランクフルト・ゲーテ大学、ベルリン自由大学のスラブ学科に在籍してロシア、東欧の言葉を学ぶ。
1987年頃より、チェコ映画の字幕翻訳を始める。現在はチェコの絵本の翻訳、エッセイ、通訳、講演等を通して、チェコの文化を日本に紹介している。
https://www.ceska-japonka.com/profile.html
代表的な翻訳書にはもぐらくんシリーズをはじめ、 「きつねがはしる チェコのわらべうた」(ヨゼフ・ラダ絵、岩波書店、2023)「火の鳥ときつねのリシカ チェコの昔話」(木村有子編訳 出久根育絵、岩波書店、2021)などがあり、ご自身の経験を「チェコのヤポンカ 私が子どもの本の翻訳家になるまで」(かもがわ出版、2024)として執筆されています。

左上写真:「もぐらくんとゆきだるまくん」
(ハナ・ドスコチロヴァー文、ズデネック・ミレル絵、木村有子訳、偕成社、2004)
右上写真:「チェコのヤポンカ 私が子どもの本の翻訳家になるまで」
(木村有子著、かもがわ出版、2024)

左上写真:「きつねがはしる チェコのわらべうた」
(ヨゼフ・ラダ絵、木村有子翻訳、岩波書店、2023)
右上写真:「火の鳥ときつねのリシカ チェコの昔話」
(木村有子編訳 出久根育絵、岩波書店、2021)
今回は、
【1.チェコの好きなところ】
【2.初めてチェコ(当時はチェコスロバキア社会主義国)に来た時に比べて良くなったところ】
【3.チェコの文学・絵本の魅力】
【4.チェコに来る方に伝えたいこと】
の4つを木村さんにお聞きしました。
また、ハプニングなどがあっても、それを経験している自分を「物語の主人公」と思えるような、そんな感覚があります。(分かりにくい表現ですが、ぜひ実際に足を運んでいただいて感じてもらえたら嬉しいです。)
また習慣に関して、どの人も口を揃えて言うことですが、「お店に入るときなど、どんな時でも基本的に挨拶をすること」はやはり一番素晴らしい習慣かなと思いますし、礼儀を重んじる文化のある日本人にとっては特に響くポイントだと思います。
【Památník Josefa Lady a jeho dcery Aleny】
ヨゼフ・ラダとその娘アレナの記念館という意味で、彼の作品や実際に本人が使用していた部屋が展示されています。
生い立ちや家族に関する記載もあり、建物自体はそれほど大きくはない印象ですが、お土産の種類は豊富で、ポストカードは一枚8コルナ(2025年9月時点)でした! (プラハでポストカード購入すると30コルナくらいすると思います。)。
日本語訳の本も展示されていましたが、一番驚いたのは日本語のガイドも用意されていたことで、日本語にも訳されているため日本人のお客さんが多いからか、とても歓迎されているような気持ちになり嬉しかったです。
写真:Památník Josefa Lady a jeho dcery Aleny
(Josefa Lady, 115, Hrusice, 251 66 Senohraby)
例えば、(もう終わってしまいましたが)プラハにあるVilla Pelléのアートギャラリーではイジー・トルンカの展示は2025年9月14日まで開催されていました。
その他には、ストラホフ修道院ではVečerníčekの60周年記念の展示が2025年10月12日まで展示される予定です。こちらはまだ開催中で、個人的には今まで行ったチェコの展示の中で最もよかった展示なので、是非足を運ばれてみてください。
https://www.ceskatelevize.cz/vse-o-ct/specialy/vecernicek-60-let/
ではまた来月、Ahoj!

ちひろ
改めまして、ちひろと申します。
私は幼少期の5年をチェコのプラハで過ごし、幼稚園と小学校の3年をプラハで通いました。
それ以降はずっと日本で生活しておりましたが、いつかまたプラハで生活をしたいという気持ちがどこかにありました。約3年の社会人経験の後、将来的にチェコ関する仕事をしたいという考えのもと、プラハでのワーホリを決めました。
今はチェコ語を学びながら、自身の今後やりたいことを探す日々を送っております。
先月からブログを担当しております、ちひろです。
今月は「チェコの文化を守る日本人とゆかりの地」について、お送りいたします。
※以下は私自身の体感も含まれており、事実とは必ずしも一致しない可能性がありますが、ご了承ください。チェコに渡航される際の参考にしていただければ幸いです。
【チェコの児童向け図書】
皆さんはチェコというと何を思い浮かべますか? 私の体感では、ビールと答える方が一番多い気がしますが、 個人的に多くの方にぜひ興味を持っていただきたいものの一つが、児童文学です。 代表的なチェコの児童文学作家・絵本作家には、ズデネック・ミレル、カレル・チャペック、ヨゼフ・チャペック、ヨゼフ・ラダ、イジー・トルンカ、ピーター・シスなどが挙げられますが、名前を聞いたことはあっても作品を読んだことがないという方も多いのではないでしょうか。私もすべて読んだわけではありませんが、これらは日本の一般的な児童向けの図書とは少し異なり、単なるハッピーエンドではない、明るさと暗さが共存しているような印象を受けます。
「チェコへの扉ー子どもの本の世界」関連講演会「チェコの子どもと読書」の講演会資料の中には、いくつかの物語では、笑いの中に悲哀や風刺が込められており、子どもたちは遊びを通して人生の厳しさや複雑さを学ぶことができるという旨の記載があり、私自身もその通りだと思います。
https://www.kodomo.go.jp/anv10th/archive/event/pdf/20080426.pdf
私が子どものころに読んだ、または親に読んでもらった本というのは、意外といつまでも心に残っており、自分の想像力をかなり豊かにしてくれたと感じています。
また、児童文学というと「大人が読んでも」という考えがあるように思いますが、子どもならではの視点や気づきがあり、案外その発想の柔軟さにハッとさせられるものです。
私の周囲では、20代の大人のチェコ人の方でもファンタジー作品を夢中になって読んでいる方が何人かいらっしゃいます。
そこで今回は文学を切り口に、翻訳家の木村有子さんにいくつか質問をさせていただき書面で回答をいただきました。
【木村有子さんに4つの質問】

写真:木村有子さん
木村さんは幼少期をチェコ(当時はチェコスロバキア社会主義国)で過ごされ、のちに再度来られていたという点で私と共通点がある方です。
【プロフィール】(木村さんのホームページより)
東京生まれ。1970年 父親の転勤に伴い家族でプラハへ。1973年まで現地の小学校に通う。
1984年 日本大学芸術学部文芸学科卒業。
1984年 チェコスロバキア政府給費留学生となり、プラハ・カレル大学に2年間留学。
会社勤めの後、1989年より1994年にかけての4年間、夫と共にドイツの西ベルリン、マンハイム、フランクフルト、統一後のベルリンに住む。
この間、フランクフルト・ゲーテ大学、ベルリン自由大学のスラブ学科に在籍してロシア、東欧の言葉を学ぶ。
1987年頃より、チェコ映画の字幕翻訳を始める。現在はチェコの絵本の翻訳、エッセイ、通訳、講演等を通して、チェコの文化を日本に紹介している。
https://www.ceska-japonka.com/profile.html
代表的な翻訳書にはもぐらくんシリーズをはじめ、 「きつねがはしる チェコのわらべうた」(ヨゼフ・ラダ絵、岩波書店、2023)「火の鳥ときつねのリシカ チェコの昔話」(木村有子編訳 出久根育絵、岩波書店、2021)などがあり、ご自身の経験を「チェコのヤポンカ 私が子どもの本の翻訳家になるまで」(かもがわ出版、2024)として執筆されています。

左上写真:「もぐらくんとゆきだるまくん」
(ハナ・ドスコチロヴァー文、ズデネック・ミレル絵、木村有子訳、偕成社、2004)
右上写真:「チェコのヤポンカ 私が子どもの本の翻訳家になるまで」
(木村有子著、かもがわ出版、2024)

左上写真:「きつねがはしる チェコのわらべうた」
(ヨゼフ・ラダ絵、木村有子翻訳、岩波書店、2023)
右上写真:「火の鳥ときつねのリシカ チェコの昔話」
(木村有子編訳 出久根育絵、岩波書店、2021)
今回は、
【1.チェコの好きなところ】
【2.初めてチェコ(当時はチェコスロバキア社会主義国)に来た時に比べて良くなったところ】
【3.チェコの文学・絵本の魅力】
【4.チェコに来る方に伝えたいこと】
の4つを木村さんにお聞きしました。
【1.チェコの好きなところ】
→チェコのほぼ全てと言っていいですが、文化や習慣、ユーモア、町。小学生の頃プラハに住んでいたので、歴史が重層的に残るプラハの町はいつ歩いても魔術的で魅力的。【2.初めてのチェコ(当時はチェコスロバキア社会主義国)に来た時に比べて良くなったところ】
→たくさんあります。表現の自由、旅行の自由など、全てが西側のように自由になったことです。日常生活でいうと、野菜や果物を始め、欲しい物は何でも購入できること。行列をしなくてもいいこと。初めてチェコスロバキア社会主義共和国に行ったのは1970年でしたが、品不足が日常でした。【3.チェコの文学・絵本の魅力】
→チェコの小学校に通ったお陰で、友達を通じてチェコの児童文学に魅せられました。私の子ども時代には、チェコでは豪華なカラー挿絵が入った大きな絵本や読み物がどの家にもあり、3年生ぐらいから子どもが読んでいて、日本よりすごいと驚きました。日本よりも、大人っぽい挿絵の王子様やお姫様の出てくる昔話にあこがれました。しかし、美しいだけでなく、醜かったり、残酷な絵も入っているのに、子どもながら驚きました。(『金色の髪のお姫さま チェコの昔話集』カレル・ヤロミール・エルベン作、アルトゥシ・シャイネル絵、岩波書店)。最近は、若い世代のイラストレーターや作家を起用して、斬新で面白い絵本が出版されているところが魅力です。【4.チェコに来る方に伝えたい】
→チェコを訪れ、知るためには、色々な切り口があります。音楽、演劇、美術、工芸、文学、絵本、人形劇、映画、ビール、食べ物、スポーツ、自然の中の別荘生活など。手先が器用で音楽性が豊かなチェコ人は、読書家としても知られ、ビアホールで仲良くなって話が弾むこともあります。旅に出る前に、興味のある分野をなるべく調べて行き、同時に普段着のチェコも、ぜひ見たり体験してみてください。【インタビューを終えて】
1の内容に特に共感しました。東京のように便利で困らないということはもちろんないですが、すべてが絵になるというか、作品の中にいるような感じで、木村さんの「魔術的」という言葉はかなりしっくりきます。また、ハプニングなどがあっても、それを経験している自分を「物語の主人公」と思えるような、そんな感覚があります。(分かりにくい表現ですが、ぜひ実際に足を運んでいただいて感じてもらえたら嬉しいです。)
また習慣に関して、どの人も口を揃えて言うことですが、「お店に入るときなど、どんな時でも基本的に挨拶をすること」はやはり一番素晴らしい習慣かなと思いますし、礼儀を重んじる文化のある日本人にとっては特に響くポイントだと思います。
ゆかりの地
ここでは観光でぜひ足を運んでいただきたい、木村さんの翻訳作品と関係が深い場所を1つ紹介いたします。【Památník Josefa Lady a jeho dcery Aleny】
ヨゼフ・ラダとその娘アレナの記念館という意味で、彼の作品や実際に本人が使用していた部屋が展示されています。
生い立ちや家族に関する記載もあり、建物自体はそれほど大きくはない印象ですが、お土産の種類は豊富で、ポストカードは一枚8コルナ(2025年9月時点)でした! (プラハでポストカード購入すると30コルナくらいすると思います。)。
日本語訳の本も展示されていましたが、一番驚いたのは日本語のガイドも用意されていたことで、日本語にも訳されているため日本人のお客さんが多いからか、とても歓迎されているような気持ちになり嬉しかったです。

写真:Památník Josefa Lady a jeho dcery Aleny
(Josefa Lady, 115, Hrusice, 251 66 Senohraby)
【おわりに】
他にも常設展ではありませんが、児童文学に関する展示はいくつかあります。例えば、(もう終わってしまいましたが)プラハにあるVilla Pelléのアートギャラリーではイジー・トルンカの展示は2025年9月14日まで開催されていました。
その他には、ストラホフ修道院ではVečerníčekの60周年記念の展示が2025年10月12日まで展示される予定です。こちらはまだ開催中で、個人的には今まで行ったチェコの展示の中で最もよかった展示なので、是非足を運ばれてみてください。
https://www.ceskatelevize.cz/vse-o-ct/specialy/vecernicek-60-let/
ではまた来月、Ahoj!
【参考文献】
- 「チェコへの扉-子どもの本の世界」関連講演会「チェコの子どもと読書」講演会資料 https://www.kodomo.go.jp/anv10th/archive/event/pdf/20080426.pdf (2025年9月10日閲覧)
- 木村有子 ホームページ 「チェコのヤポンカ Česká Japonka」https://www.ceska-japonka.com/profile.html (2025年9月10日閲覧)
- ハナ・ドスコチロヴァー文、ズデネック・ミレル絵、木村有子訳、もぐらくんとゆきだるまくん、偕成社、2004
- 木村有子著 ヨゼフ・ラダ絵、「きつねがはしる チェコのわらべうた」、岩波書店、2023
- 木村有子編訳 出久根育絵、「火の鳥ときつねのリシカ チェコの昔話」、岩波書店、2021
- 木村有子著、「チェコのヤポンカ 私が子どもの本の翻訳家になるまで」、かもがわ出版、2024
- Památník - Josef Lada https://www.joseflada.cz/laduv-kraj/pamatnik/ (2025年9月10日閲覧)
- PRODLUŽUJEME VÝSTAVU TRNKA-PŘÍBĚH LEGENDY DO 14. 9. https://villapelle.cz/prodluzujeme-vystavu-trnka-pribeh-legendy-do-14-9/ (2025年9月10日閲覧)
- Večerníček slaví 60 let - Česká televize https://www.ceskatelevize.cz/vse-o-ct/specialy/vecernicek-60-let/ (2025年9月10日閲覧)
執筆者紹介

ちひろ
改めまして、ちひろと申します。
私は幼少期の5年をチェコのプラハで過ごし、幼稚園と小学校の3年をプラハで通いました。
それ以降はずっと日本で生活しておりましたが、いつかまたプラハで生活をしたいという気持ちがどこかにありました。約3年の社会人経験の後、将来的にチェコ関する仕事をしたいという考えのもと、プラハでのワーホリを決めました。
今はチェコ語を学びながら、自身の今後やりたいことを探す日々を送っております。
