モラヴィア・スロヴァキア地方の「王の騎行」は、チェコ共和国における他に類を見ない伝統行事であり、ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。この行事は、毎年5月最後の週末にモラヴィア・スロヴァキア地方およびハナー地方のいくつかの村や町で体験することができます。なかでもヴルチノフでは、200年以上続く伝統があり、毎年欠かさず開催されています。
この伝統の起源には諸説ありますが、最も有名な伝説は、ハンガリー王マティアス・コルヴィヌスがボヘミア王イジー・ス・ポジェブラトから逃れる際のものです。王は従者たちとともに逃亡中、女の子の服をまとい、顔をリボンで覆い、口にバラの花をくわえて正体がばれないようにしたと言われています。
現代の「王」は、口にバラの花をくわえ、頭にリボンを巻いた少年が務めます。白馬に乗って村に入場し、「随行者」たちは踊りながら観客の注意を引き、贈り物を差し出します。村全体が祝祭ムードに包まれ、代々受け継がれてきた華やかな民族衣装を目にすることができます。
色彩と味覚の祭典
「王の騎行」は、モラヴィア・スロヴァキア地方の活気を肌で感じられる、本物のカーニバルのようなお祭りです。メインのパレードや祝祭は通常日曜日に行われますが、週末を通して町はにぎわい、ツィンバロン(中国の揚琴に似た中東欧の伝統楽器)やブラスバンドの陽気な音色が響き渡ります。地元の料理も充実しており、きっと味覚を満たしてくれることでしょう。
お祝いの伝統菓子は特におすすめで、成人の方であれば、地元の蒸留所で作られたスリヴォヴィツェ(プラム・ブランデー)やワイナリーのワインと一緒に楽しむこともできます。最後に、クラフトマーケットでお土産を買って旅の思い出を持ち帰ってください。