チェコの地方で自然散歩

チェコの地方で自然散歩

豊かな自然に囲まれてリフレッシュしませんか?

チェコの地方で自然散歩
秋、そしてこれからやってくる冬は自然がもっとも美しくなる季節です。いつもより一枚着込んでレインコートを用意すれば、観光客の間を掻き分けることなく美しい自然を楽しむことができます。新型コロナウイルス感染症の影響により旅行は制限されていますが、チェコは観光客を受け入れ続けています。自国の現在の疫学的基準を確認するとともに、チェコ共和国の基準も確認するようお願いいたします。そしてチェコにやってきたならば、その美しく雄大な自然に圧倒されることでしょう。さあ、どこに行きましょう?

スヴァトシュ岩石群(Svatošské skály)

チェコ共和国でもっとも美しい岩々は、ドイツ国境近くの西ボヘミア地方に位置しています。おびただしい数の岩の円柱や角柱、角錐で自然に構成されたスヴァトシュ岩石群は、カロルヴィ・ヴァリ近くの花崗岩の山塊の中に、オフジェ川によって形成されました。岩々は結婚行列を思い出させます。そしてそれがこの名前の由来となっているのです。オフジェ川に架かる吊り橋方向へ、下流に向かって新郎新婦、神父、立会人、ミュージシャン、義理の父親、義理の母親、そしてお城が並んでいるように見えます。左側の川岸には、上流に向かって、急な坂に生える木々の間にひっそりと「一匹狼」と呼ばれる岩がそびえたっています。この地は、ボヘミア地方のスパにやってくるたびに訪れていたヨハン・ヴォルフガング・ゲーテなどのさまざまな芸術家たちにインスピレーションを与えてきました。

ティサー岩石群(Tiské stěny)

ドイツとの国境に位置するウースチー・ナド・ラベム近くのティサー岩は、エルベ砂岩山地の中でもっとも多くの人が訪れる場所です。ティサー岩石群は大岩石群と小岩石群の二つに分けられており、どちらも標識のあるトレイルに沿って行くことができます。トレイルの一つは大岩石群の尾根まで伸びています。ティサー岩やその他の岩石群が位置しているエリアは、昔から砂岩登りのロケーションとして有名です。秋冬には楽しむことはできませんが、もしロッククライミングがお好きなら、トレイルの下見に来て夏に備えておくことをおすすめします。

ブロウモフ岩石群(Broumovské stěny)

チェコ共和国にあるもう一つの岩石群、ブロウモフ岩石群、ポーランド国境近くの東ボヘミア地方で見ることができます。ブロウモフ岩石群を訪れる理由、それはこの観光客からほとんど忘れ去られた自然保護区が誰しもを魅了するからです。とても広いエリアに美しい砂岩、深い峡谷、渓谷、幻想的な景色、そして豊かな森が存在します。スラヴニーの集落近くには、きのこ岩(Slavěnské hřibyという珍しい景色を目にすることができます。不均一に風化された結果、岩の形はきのこのように見えます。そして、特にこのエリアの岩々は一年の終わりにかけて、秋の霧とともにもっとも幻想的になっていきます。

シュマヴァ山地(Šumava)に位置するラカ湖

シュマヴァ山地はドイツのバイエルンとの国境上に位置し、国境は山地の真ん中を通っています。ボヘミア地方の南東部に位置するその地は、共産主義的な東ヨーロッパと民主主義的な西ヨーロッパを隔てる鉄のカーテン近くであったため、長い間人間の手が入ることなく存在し続けてきました。今日では、訪れた観光客は豊かな自然に歓迎されることでしょう。自然に委ねられて時間が経過しているため、森の一部分が死んでいたり、キクイムシの繁殖にも耐えた新しい森が誕生していたり、そのような自然の移り変わりも目にすることができます。そして森だけではなく、ラカ湖などのシュマヴァの湖の数々を探訪することもできます。ラカ湖の標高は1096メートルにもなります。湖は広さにすると3ヘクタールしかなく、深さも一番深いところで4メートルしかありませんが、シュヴァマの湖の中で最大の集光面積を誇ります。そしてラカ湖の興味深い点といえば、他のシュマヴァの湖の湖底は岩でできており、森からの堆積物で覆われているのに対し、ラカ湖の湖底は分厚い泥炭の層でできているのです。さらにラカ湖は、その位置が時間とともに変化する浮き島を持っているという点で非常に特殊だと言えるでしょう。島は大抵泥炭ゴケやスゲ、ブルーベリーなどで覆われています。

ボヘミアン・パラダイス

ボヘミアン・パラダイスとして知られる地域はボヘミア地方の北東部、国境から車で約1時間の場所に位置しています。この地域の特徴といえば、異なる時代の砂岩層が見られることです。岩石層や岳の数々は何百万年も前からそこに存在しています。火山活動や、海やその堆積物の影響で誕生したのです。岩石層は、洞窟や疑似陥没穴、岩の門や窓などの面白い要素を兼ね備えています。このボヘミアン・パラダイスの面白さは国際的にも認められており、今ではユネスコ世界ジオパークに登録されています!

ノヴェー・フラディ(Nové Hrady)近くのテレサ渓谷

ノヴェー・フラディ山地に位置するテレサ渓谷は、人間の影響をわずかしか受けていない美しい自然が楽しめる場所です。オーストリアとの国境近くの南ボヘミア地方で目にすることができます。もともとは川のある普遍的な谷でした。しかし18世紀に土地の所有者が妻のテレジアの要望に応えるために自然景観公園を設立しました。今日では、ロマンチックな景色だけでなく、白い木製の橋やベンチが舗装された道に設置されています。樹齢500年以上の樫の木、入り口の門、帝国様式の再建された浴場、そしてゲストハウスやレストランとして使用されている製粉所を見ることができます。

クルコノシェとムムラフスキーの滝

最後にもう一つだけ。今回はポーランド国境近くの北ボヘミア地方に戻ります。クルコノシェ山脈はユニークな高山植物や、スカンジナビアのツンドラを思い出させるような景色が独特な、チェコ最高峰の山脈です。季節や天気に関わらず、山の頂上にはいつでも多くの観光客がやってくるので、今回はあまり人のいないエリアに行ってみましょう。そのうちの一つが、層になった花崗岩で形成されたハラホフ(Harrachov)近くのムムラフスキーの滝です。そこでは「悪魔の目」と呼ばれている窪みも見ることができます。何千年もの時をかけてムムラヴィ川の急流によって削り取られたものです。一年のうち大抵は、水が10メートルの高さから流れ落ちていますが、冬が来ると川の水が凍り、巨大な氷瀑を創り出します。ムムラフスキーの滝は秋冬でもいつでも魅力的な景色とともに私たちを迎え入れてくれるのです。