2025年チェコの城郭や城館
チェコの城郭や城館が、2025年の観光シーズンを迎えました。今まで立ち入ることができなかった部屋に入れるようになったり、イタリア名の貴族、コロレドやピッコロミニなどの物語に触れたり、あるいはその昔失われた宝物を見学できるようになったのです。さあ、出掛けましょう!

イタリア貴族の年:地中海の芸術、歴史、味覚

チェコの歴史的記念物や城郭、城館の多くを管理下に置く国家記念物管理局は例年同様、1つの貴族家系に焦点を当てて、皆さんにご紹介します。今年はチェコ国内のイタリア系貴族です。3家系-コラルト、コロレド、ピッコロミニは、チェコの城館をイタリアの芸術志向で飾っただけでなく、そこに南ヨーロッパの魅力さえ表現しました。ウへルチツェ(Uherčice) の城館では修復された天使の階段が公開され、オポチュノ(Opočno)では来場者がネアポール絵画や薔薇の祭典、アイスクリームの日を楽しむことができ、ナーホド(Náchod) ではフェンシングやナイト・ツアー、更に特別料理を体験できます。このプロジェクトが最高潮を迎えるのは823日の城館と城の夜Hradozámecká nocです。この日、ウへルチツェでは、ライト・ショーや音楽、ダンスで盛り上がるバロックの宴の雰囲気を味わうことができます。

Uherčice Chateau, ©Kudyznudy.cz

プラハ:人々の心にあって、全てを乗せて流れるヴルタヴァ

展覧会題名:ヴルタヴァ スラヴナー&スプラヴナー/ Vltava slavná & splavná)
首都プラハでは今年、チェコの半分をカバーするような文化体験を準備しています。ヴルタヴァ スラヴナー&スプラヴナー展プラハ城の乗馬場で行われるのです(2025年9月から12月まで)。この展覧会は、数世紀に及ぶ歴史を持つ文化の道として、チェコの川をマッピングするもの。ヴルタヴァ川は、シュマヴァ山脈源流からムニェルニーク(Mělník) の町にあるラベ川との合流点まで流れていますが、プラハ城での展覧会は、チェコにとって大切なこの川の流れに沿って見どころを結んでゆく、2025年の1年間をかけるプロジェクトの中心地に設定されています。また、会場では世界的作曲家であるベドジフ・スメタナ日記交響詩初演時のドキュメント直筆の交響詩ヴルタヴァの楽譜を目にすることもできます。

Bedřich Smetana statue, Vltava river, Prague © Shutterstock.com

中部ボヘミア:鞍に、そして暗いパブへ

カルロヴァ・コルナ(Karlova Koruna) 城館では、壮大な城館乗馬場と厩舎が公開されます。ここにはマルチメディア展示が置かれていて、キンスキー家の馬の飼育について知ることができます。更に、古い厩舎と修復された19世紀の始めの馬車がある馬車庫を見ることもできます。ドブジーシュ(Dobříš) では5つの展示があるオランジェリエがオープンし、城館庭園のナイト・ツアーが始まります。また、初めてネウストゥポフ(Neustupov) の城館エリア全体が公開になります。ここではゴシック時代の倉庫、フレスコ、そしてその昔の城館の所有者たちの物語に触れられます。デェテニツェ(Dětenice)・リゾートはテーマを持ったフードフェスティバルと、人気がある中世風居酒屋で行われるナイト・ショーが始まります。

Dobříš Chaueau © Aleš Motejl, CzechTourism

 

南ボヘミア:鏡の間と偽造コイン

チェスキー・クルムロフの城館では、ルネサンスとバロックの部屋を訪れる見学コースへ、初めて鏡の間が加わります。幻想的な数々の壁画といくつもの大きな鏡があるこの壮大な空間はその昔、コンサートやダンスのホールとして利用され、また図書館や一時的な劇場としても利用されていました。2025年4月からは、城館庭園にある夏の宮殿ベラリエ(Bellarie) も公開されます。この建物は国内に唯一現存する、貴重かつ大変価値の高いロココ風庭園建築です。壮大なロジュムベルク(Rožmberk) 城は、ブクゥオイ(Buquoy)家の部屋に命を吹き込みました。修復によって、19世紀半ばのブクゥオイ家博物館の姿をよみがえらせたのです。それぞれの部屋は、この家系の一員に縁があります。トシェボニュ (Třeboň) 城館では、史上初めて庭園に張り出した城館部分を公開します。ここには昔のコスチュームを纏ったマリオネットを展示しています。テルチ(Telč) では画家、ヤン・ズルザヴィーの絵画を目にすることができるようになりましたし、イインジフーフ・フラデツ(Jindřichův Hradec) の城館では、夏期にロマネスク様式の倉庫や当時の女性のための部屋を見ることができます!シュヴィホフ(Švihov) はドイツやノルウェーでも人気の、冬の景色を舞台に繰り広げられる有名な映画、「シンデレラ」をテーマにし、ラビー(Rabí) 城館ではちょっと面白い偽造硬貨も目にできる、考古学的発見が展示されています。

Jindřichův Hradec, Shutterstock.com

西ボヘミア:金箔を施された、豪華な聖遺物

ベチョフ・ナド・テプロウ(Bečov nad Teplou)の秘密めいた城館では、40年前に聖マウルスの遺物が発見されたことを記念し、「聖体信仰」と名付けられたバロックの聖遺物展が開かれます。また、改修された城館の食堂もリニューアルオープンします。ホルショフスキー・ティーン(Horšovský týn)では、ゴシック礼拝堂の空間で儀式に使う品々の展示が開かれ、また「召使たちのスタイル」展も行われます。子供の召使のユニフォームから、現存する中で欧州最古のユニフォームまでが展示される予定です。チェルヴェネー・ポジーチー(Červené Poříčí) 城館は、甦った貴重なバロック時代の城館オランジェリエが自慢で、現在も城館の管理人たちが柑橘類やイチジクなどの冬越しのために利用しています。

Bečov nad Teplou Castle, ©Kaprik Shutterstock.com

東ボヘミア:舌が肥えた人達のための城館調理場

クニェティツカー・ホラ(Kunětická hora) の城館の修復された空間では、この城館が20世紀から21世紀にかけて行われた修復によって、廃墟から壮大な城へ生まれ変わった経緯を紹介します。リトミシュル (Litomyšl) の城館は今も修復が続けられていますが、既にテーマに沿った見学を行っています。この夏には、城館の厨房と塔というツアーも加わる予定です。ここ数年大規模な修復を行っているスラティニャニ(Slatiňany) の城館では、厨房の昔の調理台や肉の丸焼き用の台、グリルが修理されていて、使用可能な状態です。そんなことから、今年は昔の食事文化に焦点を当てた講演や見学が準備されています。

Kunetická Hora Castle, Shutterstock.com

北ボヘミア:新しい展示と貴重な品の復活

ベズデェス(Bezděz) 城は、修復済みの礼拝堂とバロック時代の聖具室が公開され、グラプシュテイン(Grabštejn) 城では、インタラクティブな考古学的展示のある小さな中庭ほか、新しい場所が公開になります。レムベルク(Lemberk) 城館では、30年前に列聖した有名なズディスラフ侯を記念しますし、ザークピ(Zákupy) 城館には、新しい見学コースがオープンします。ここには修復された厩舎と、今までの間に地図から消えた近隣領主たちの居城の物語を紹介する、「忘れられた城館」という展示のある部屋が加わります。

Zákupy Chateau © Ludek_H Shutterstock.com

ヴィソチナ:イタリア風城館

テルチ(Telč) は、20年ぶりに戻ってきた画家ヤン・ズルザヴィーの絵画を紹介するだけでなく、イタリア貴族の年の枠内で様々なプログラムを行います。通常の城館内見学の枠内で、それまで見ることができなかった場所を訪れることができるようになるのです。ナームニェシュティー・ナド・オスラヴォウ(Náměští nad Oslavou) の城館では、イタリア人作曲家、アントニオ・サリエリの死から200年を記念したプログラムを行います。サリエリはこの城館の管理者と友人であり、W.A.モーツァルトの人生に絡むことでも知られる人物です。モーツァルトとサリエリの争いについては、ミロシュ・フォルマン監督の映画で、オスカー賞受賞作品の「アマデウス」に描かれています。 
Telč Chateu ©State Castle Telč NPU

モラビアとシレジア:暗殺事件とイタリアン・ピザを辿る

ヤノヴィツェ・ウ・リーマジョヴァ(Janovice u Rýmařova) 城館は、ハラホフのフランティシェクと第1次世界大戦の引き金となったサラエヴォ事件について、新しい見学コースを公開します。フラデツ・ナド・モラヴィツィー (Hradec nad Moravicí) では、猟の部屋と武器の部屋が初めて公開されます。オストラヴァのミハル鉱山(Důl Michal/ドゥール・ミハル) は「炭鉱夫の就業までのルーティンとその裏側 (Cesta havíře do práce a zázemí/ツェスタ  ハヴィールジェ    プラ―ツェ    ザーゼミー ) 」という題名で、新しく見学コースを設定します。ウへルチツェ (Uherčice) の城館では、2025年8月23日にチェコの城郭と城館でのイタリア系貴族の年のキャンペーンが最高潮を迎え、城館と城の夜が行われます。日中、昔の衣装に身を包んだダンサーたちのショーが行われます。屋根のある中庭では本場のイタリアピザ、フレッシュなアイスクリーム、地中海をイメージしたカクテルが提供されます。一方、夜になると昔の音楽が奏でられ、ろうそくが灯り、空間が昔へとタイムスリップするのです。更に、壮大なライト・ショーによって、その夜は忘れがたいものとなることでしょう。

Hradec nad Moravicí, DJI CzechTourism

 
城郭と城館

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威風堂々とした国王の城郭やかわいらしい城館、魅力にあふれた庭園、古代の財宝、伝説と謎。
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