自然のスケートリンクでスケートを楽しもう

自然のスケートリンクでスケートを楽しもう

自然に囲まれて体験するスケートはかけがえのない経験になるでしょう

自然のスケートリンクでスケートを楽しもう
この競技はロングディスタンススケートと呼ばれ、体験したことのある人であれば、冬季スポーツの中でもっとも美しいものであると理解してくれるはずです。しかし、このスケートは特別な器具が必要であると同時に、詳しく厳しいルールが設定されています。しばしばエクストリームスポーツにも分類されるこの競技は、スキーのフリーライドに似たスポーツで、安全規則を守ることが非常に大切です。
静寂の中、スケートと氷のひび割れる音を聞きながら、時速30キロで氷の上を滑走するこのスポーツは、車を運転しているかのごとく雄大な地形を眺めながら楽しむことができます。前方を注視し、ヒビや小石、小枝に気をつけながら走らなければすぐに転んでしまいます。そして少し離れたところに視線をやると、氷が一面に広がり、岸辺には岩や木々が立ち並び、空と太陽が私たちを見下ろしているのを見ることができます。スケートを通じて私たちは幸せに包まれることができるのです。
 
条件に恵まれ十分な霜が降りた時には、南ボヘミア地方にあるオタヴァ川のようなチェコの河川を何十キロも滑ることができます。しかし、大抵はオルリークフラホルスキノヴェームリーニのような貯水池の上を滑ります。
 
 
現在の競技人口はチェコ国内で数十人程度ですが、これからまさに始めようとしているチェコ人が増えているスポーツです。初心者はまず、正しい器具を買う、あるいは借りなければなりません。しかしこれらは借りるのも難しくなければ値段もそこまで高くはありません。ホッケー用のスケート靴も、アイススケート用の靴も必要ありません。もちろんこれでも楽しむことはできますが、長距離を滑走して楽しみたい人にはおすすめしません。速度もあまり出ず、陸地から滑るのは大変なのであまり適していません。ロングディスタンススケートに必要なのは、スピードスケートの器具に似た長い刃を持ったスケートシューズです。この刃は靴自体についているのではなく、靴に固定されたクロスカントリー用のビンディングに取り付けます。スケート用のクロスカントリーシューズや両競技に対応したコンビなどは、足首をうまく固定してくれるので最適です。もし靴を持っているのであれば、あとは刃とビンディング – 合わせて150ユーロほどが必要になるだけと、お手軽に始めることができます。
 
服装はクロスカントリーと似た物で大丈夫ですが、クロスカントリーほど身体を動かさないので、氷の上だと上半身や腕が冷えるということだけ考慮しておかなければなりません。もし寒ければ冬用の暖かい手袋がちょうど良いでしょう。暖かい帽子や首元に襟があるものを身につけることもおすすめします。もし霜が降り、風が吹いているようであれば、スキー用のゴーグルも用意すると良いでしょう。

 

安全第一

安全にロングディスタンススケートを楽しむために必要なことは、一人で行わないことと、安全のための規則に従うことです。バイクやスキーのツーリングで使われるヘルメットも装着すると、滑走中に氷の上で転んでも安心です。しかし、スポーツを楽しむ者の最も重要な義務は、スウェーデンの工場などで製造され救助を呼ぶための笛がついたものや、紐のついた特別救助用のスパイクを持ち歩くことです。そして救命ボートも忘れてはいけません。安心してください、スケートに行った全員が「浸かる」わけではありません。経験のある人や注意深く安全に気を配っていれば水に落下することはありません。でも万が一の時には…….
 
スパイクはスケーターの首から下げて持ち歩きます。そうすることによって、もし必要になった場合には、すぐに首から外して救助のために装着することができます。もし水に落下してしまったときには、まず落ち着いて、後方を向きスパイクを使い、自分が滑ってきた氷の上によじ登るようにしましょう。
 
チェコだけでなく、スウェーデンやアメリカなど様々な国と地域を旅し何千キロも自然の中を滑走してきたプラハ出身のヤン・ストドラが、主にこの国でロングディスタンススケートを浸透させようと活動しています。彼のウェブサイトやフェイスブック、ロングディスタンススケートには彼のアドバイスが掲載され、このスポーツを体験してみたい人々にとって非常に有用なものになっています。
 
「昨年のちょうどこの時期、1月の中旬ごろ、イーサンとエミリーというネブラスカに住むアメリカ人のカップルが、結婚4周年を記念したヨーロッパへの旅行の中でチェコ共和国でスケートを楽しみたいと私に連絡してきました。当時はどこも氷が少なく、唯一氷があったのは、プラハから北に60キロのココジーン城の森の中にある小さな湖だけでした。彼らに靴と長いスケート刃を貸してあげました。当日は雨も降っていましたが、とても順調にいき、彼らとともに自分も楽しむことができました。」とヤン・ストドラは語ります。「二人はユタ州出身の大学院生でした。エミリーは元々スケーターで湖の上を滑ったことがありましたが、イーサンにとっては初めての経験でした。しかし彼も心地よく安定して滑っていました。」
 
このスケートにおいて一番難しいのは、氷が十分丈夫になった正しいタイミングを見極めることです。新しい氷は、安全に滑走できる古い氷に比べて非常に薄いので、ここで必要な氷の厚さを明記することは特に意味を成さないでしょう。最適なタイミングは、霜が降りて数日、十分な硬さの氷が形成されたときです。その後は一日中凍えるような寒さでなくても、夜間の霜があれば、比較的長い期間スケートを楽しむことができます。ヤン・ストドラは、氷の強度を試しながら進むために硬い木の棒を携えてスケートに向かいます。強度の確かめ方は簡単です。もし棒が簡単に氷を突き抜けてしまったら、その氷はまだスケートには適さないでしょう。
 
次に難しいのは、簡単で安全な氷への道を探すことです。スケーターたちは完璧に凍っていない氷の上にある木の板を使って氷まで安全に近づける道をしばらく探し続けなければならないことも多々あるのです。
 
しかし、そのあとに待っているものは格別です。少人数で雄大な池や川の上を滑ることは、何物にも代え難い経験となるでしょう。

ライター:Petr Pravda