プラハと地方都市-地域の入場門
チェコの見所はプラハだけではありません。チェコを東西につなぐ様々な都市のストーリーが、それぞれの町の魅力を伝えてくれます。どの町でも過去何百年もの間に築かれた景観美はもちろん、脈打つエネルギーと現代芸術がお楽しみいただけます。

プラハ:ネバー・エンディング・ハプニング 

チェコ最大の観光都市といえば、やはりプラハ。チェコを訪れる観光客で、プラハをスキップする人はほぼないでしょう。プラハ城カレル橋はもうほとんどの方がご覧になったことと思います。それでもプラハはリピートする価値が十分にあります。例えば中心部から地下鉄でほんの数駅行ったところにある、ホレショヴィツェ地区は、アート・ディストリクトと呼ばれており、ギャラリーや博物館、劇場、カフェ、レストラン、ライブ・クラブ、クリエイティブ・スタジオハイブリッド・カルチャー・スペースなどが集中、常に「ネバー・エンディング・ハプニング」の舞台となっています。街の雰囲気はベルリンのクロイツベルクを彷彿させます。ここではインディーズ系の文化シーンとオフィシャルな機関とが絶妙なコンビネーションで共生しているのです。例えばここには現代美術センターDOXあるいは国立美術館の展示場・見本市宮殿などがあります。またカフェではビットコインで支払いが可能ですし、様々なオルタナティブ・スペースでは、コンテンポラリー・ダンスと即興音楽の融合を体験することができます。そして極めつけは、冷たいビールのジョッキを傾けるのに最高の場所、プラハ旧市街を一望できるレトナー公園です!
 

ブルノ:建築と美食のメッカ 若く、エネルギーに溢れ、スタイリッシュな町

ブルノは、チェコで最もユニークな発展を遂げた町です。このモラヴィアの中心都市は、いくつかの国内トップクラスの大学の所在地となっているため、世界でも最もポピュラーな学生町の一つに数えられています。ここにはまた、最優良級のレストラン、カクテルバー、ビアホール、ワインケラーなども立ち並んでいます。ではカフェ事情はどうかと申しますと、実は世界コンテストで入賞するような、バリスタを置く本格トレンディショップは、プラハではなく、ブルノが本場なのです。このモラヴィアの都市はまた、現代建築の町としても知られています。ユネスコに登録されているのはトゥーゲントハット邸のみですが、20世紀前半の芸術を好む方であれば、この他レーヴ・ベール邸シュティアッスニ邸あるいはユルコヴィッチ邸なども是非お見逃しなく。このように機能主義建築の密度の高い場所として、ブルノは、世界でもかなり珍しい、貴重な存在となっています。
 

オストラヴァ:知られざる原石の美 

30年前、この北モラヴィアの町は、黒いオストラヴァと呼ばれていました。これほどまでに重工業が町の中心に集中していた町は、当時のチェコでも他に類をみなかったのです。現在はその頃からかなり様変わりしましたが、それでも工業都市としての町の雰囲気はそのまま残されています。例えば下ヴィートコヴィツェ地区。ここはプラハを除けば、最も観光客に人気のある場所の一つに数えられています。下ヴィートコヴィツェは、見学可能な場所としては、チェコ国内最大のインダストリー・エリアで、解説付き見学ツアーに参加すれば、製鉄の全技術工程を知ることができます。ここには一つのエリアに炭鉱跡もあれば、製鉄所跡も見られます。これら全て、中央駅から約1 kmのところにあるのです。今日ここは、世界中から超一流アーチストが集う音楽フェスティバル「カラーズ・オブ・オストラヴァ」のコンサート会場としても使用されています。
 

クトナー・ホラ:中世をそのまま残す町 

チェコ国内に数ある中世の町の中でも最も美しい町の一つ、クトナー・ホラは、プラハから東に70 km ほど行ったところにあります。かつて欧州大陸の半分に、その銀鉱から採掘された銀を供給していた誇り高い町として知られたクトナー・ホラは、今日、石畳の石の一つ一つから中世の香りが漂う町として人々に愛され続けています。町の見どころとしては、ユネスコ世界遺産に登録されている聖バルボラ教会イタリア宮殿あるいは神秘的な納骨堂で知られるセドレツ修道院などが挙げられます。またクトナー・ホラにいらしたからには、チェコ銀博物館にも是非お立ち寄りください。ここでは地下に降りて、中世の銀鉱の様子も見学することができます。
 

リトミシュル:魅惑的な魂の温泉

チェコ国内には、いくつか有名な温泉町がありますが、「魂の温泉」と呼ばれているのはただ一つ、東ボヘミアリトミシュルのみです。この閑静な、小さな町では、ルネサンス式の城館と広場に並ぶ建物の歴史的な美しさと、現代建築および近年改装された庭園との見事な調和が見られます。リトミシュルでは、魂の休息が得られるのです。この町を夏に訪れる方は、リトミシュル城の中庭で開催されるクラシック音楽祭「スメタナのリトミシュル」をどうぞお見逃しなく。音楽祭の名称となっている、チェコが誇る大作曲家、ベドジフ・スメタナは、1824年、リトミシュルで生まれました。リトミシュル城では更に、バロック劇場もご鑑賞いただけます。現在も機能しているこの劇場には、バロック時代の背景、衣装がそのまま保存されています。
 

オロモウツ:モラヴィアの宗教の中心地 

中世の町・オロモウツは、モラヴィアのほぼ中央に位置しています。この町には様々な宗教遺産が残されていますが、その数の多さは、訪れる人誰もが驚嘆するほどです。ロンリー・プラネットによると、オロモウツは観光地化されていない最も美しい町の一つに数えられています。その見どころとしては、例えばユネスコ世界遺産・聖三位一体ペスト柱大司教宮殿、大司教博物館あるいは聖ヴァーツラフ教会などが挙げられます。オロモウツは、中世からカトリック教会大司教の本拠地とされていた、その歴史的背景のため、ゴシック、ルネサンス、そしてバロックの遺産の中でも最高に美しい芸術作品に溢れた都市となっています。貴方も是非この町で、歴史がもたらした芸術に触れてみてください。
 

カルロヴィ・ヴァリ:絶妙な心身のハーモニー 

温泉、源泉、国際映画祭、磁器、ガラス…これら全てが楽しめる町、それがカルロヴィ・ヴァリです。この温泉町は、かつて国王、皇帝、欧州の貴族たちのお気に入りの療養場所として知られていました。町はオフジェ川とテプラー川の谷間に位置し、美しい森に囲まれています。カルロヴィ・ヴァリをお訪ねの際には、是非その近郊の町にも足を延ばしてみてください。例えばロケットの王家の古城あるいはベチョフ・ナド・テプロウの城館は必見です。後者ではチェコで二番目に貴重な文化財とされている聖マウルスの聖遺物箱を目にすることもできます。
 

リベレツ:山に囲まれた町 

リベレツと聞いて、チェコ人が真っ先に思い浮かべるものは、恐らくイェシュチェト山とその頂上に立つ堂々たるホテルとテレビ塔でしょう。リベレツはイゼラ山地の山々に囲まれていますが、その核を成しているのがイェシュチェト山なのです。山頂に立つテレビ塔とホテルは1960年代に建てられたものです。当時多くの人々が宇宙に憧れを抱いてましたが、この建物の設計者も宇宙的な形態にインスピレーションを得たと思われます。この他に類をみない建物は内部も、現在50年前の姿を取り戻しつつあります。但しリベレツの見どころはイェシュチェトだけではありません。山の周辺はウィンタースポーツのメッカとなっており、ここにはチェコ最高のクロスカントリー・コースもあります。
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